2014年10月20日

HEART ROCK 5th 参戦記 その3

突然、HQから指令が飛んできた。

「昨夜、米軍の輸送機が墜落した。その残骸を回収せよ。」

本部がざわついていたのはこれだったのか。何でも、積荷は極秘ながら相当ヤバいものらしい。
これだ。いつも現場には肝心な情報は伏せて伝えられる。

HEART ROCK 5th 参戦記 その3
HEART ROCK 5th 参戦記 その3


英軍が雇っている、現地人の通訳がブツブツと文句を言っている。
我々イタリア軍も、時々この男と行動を共にするが、謎の多い男である。

「旦那、この先危ないよー。死ぬ嫌よー。歩く疲れたよ、もうみんな帰るいいよ。」
何かと口数が多い男だが、通訳やガイドだけではなく、現地の武装勢力との交渉もこなす。
セキュリティは情報部がクリアランスを与えているので間違いないだろうが、この男、元アフガン国軍兵とだけしか知らない。
時より鋭い目光を見せるのが気になるが、部隊では皆、あまり過去を詮索しないようにしてきた。

HEART ROCK 5th 参戦記 その3

さらにHQから指令が届く。
「位置820-242、ポイント23付近、エリアの残骸を捜索せよ。尚、武装勢力側にも活発な動きが確認されている。
 武装勢力よりも先に現場を確保せよ」
HEART ROCK 5th 参戦記 その3
現場には焦げた油の匂いが広がっていた。
「旦那、あったよ。あそこ」
現地通訳が残骸を指差す。タイヤのようなものやちぎれた金属片、焼け焦げた書類などが散乱していた。
その中に、HQから指示のあった捜索物であろうものを見つける。

仲間が引き上げようとした瞬間・・・
「ダメ、あれIEDよ! 動かしたらドカーンね!」
現地通訳が大声で叫び、皆一瞬ひるむ。すると、現地ガイドはなにやら腰のポーチから工具を出すと、IEDに向かい始めた。
「ワタシ、昔EOD(爆発物処理担当)ね。爆弾怖い無い、オッケーね。」
HEART ROCK 5th 参戦記 その3
  (今後の活動に支障をきたす為、画像を処理しています)

数分後、男の手の中にあった物はただの電子基板と不活性化した爆薬の塊となり、もはや我々の命を脅かす存在ではなくなった。


(リアル話)
英軍の現地ガイド役の方、DDPM+青いヘルカバー+非武装 で新しい風をHRに吹き込んでくれました。
何度か現地人との接触がありましたが、この方が交渉(通訳)に当たっていたのがリアルでした。
ちなみに真っ黒写真で棒のようなものを手にしていますが、英軍のEODキットの道具です。
現実ではどこの国の部隊でも、ミリフォトとかに一つ前の世代の装備をつけた現地人が写ってます。イタリアでもAP98を着た現地の人がいました。現地人スタッフです。
実際にもこの方、「旦那、ワタシ死ぬイヤよー。旦那も嫌でしょ? だからもう帰ろうよー」「米軍はヘリある、イギリス無いなぜ? ワタシもう歩く嫌ねー」と、楽しいアドリブ全開でした。





HEART ROCK 5th 参戦記 その3
しばらく進むと、米陸軍のFOBがあった。
こんな山奥にも大量の物資を送ってFOBを築く、米軍のスケールに改めて圧倒された。
もう緊張状態には慣れっこなのだろう。警戒する兵士はリラックスした表情さえしていた。
HEART ROCK 5th 参戦記 その3
HEART ROCK 5th 参戦記 その3
しばらくここで休憩する事となった。歩き疲れた我々にとっては、目の前に現れた一時の楽園の様でもある。
英兵はお湯を沸かし、紅茶を入れ始める。
ふいに、なぜか映画「地獄の黙示録」での、農園の場面を思い出してしまう。

ただ、アメリカ兵は全員が全員、片時もM4ライフルを離さない。ホットな状態でそばに置く。装填したグレネードランチャーが、手を伸ばせばいつでも掴める位置にある。
時より遠くで銃声が聞こえると、皆、一瞬で鋭い兵士の顔になる。

やはり、ここも戦場であった。

時々ちょっかいを出してくる現地民がいて油断がならないんだ、と案内してくれたアメリカ兵が笑っていた。
HEART ROCK 5th 参戦記 その3

(リアル話)
この施設を、実際に荷物を運び込んで短時間で作ってしまう米陸さん。毎回ビックリです。しっかり小道具が並んでいます。どう見ても本物の戦場。
ちょっとだけ覗いてみました。
いつもどうやって準備して構築しているのかが謎です。同行のISAFの方が 「(褒め言葉で)ここの人達、様子がおかしい」 とおっしゃっておりました。
ここで無理にお願いしてISAFの集合写真を撮っていただきました。ありがとうございました。




ANP。アホガニスタン国家警察。
この組織はアメリカの意向があって突貫で現体制にしたこともあり、練度や意識、時には思想すらバラついている。
元ムジャヒディンやコマンド上がりの精鋭もいれば、よくわからないのもいる。

組織の頭数を増やす事だけに急ぎすぎたのだ。
米軍FOBの傍に彼らのベースがあり、タバコともマリファナともつかない煙をふかしながら、大音量でトライバルな音楽を流して談笑している。

HEART ROCK 5th 参戦記 その3
HEART ROCK 5th 参戦記 その3
HEART ROCK 5th 参戦記 その3

EUPOLの文民警官が近づくと、とたんに踵を返したかのように整列をはじめた。

 「親方が来たぞ」「仕事の時間だ」「とりあえず整列だけしとけ」

彼らが現地語でそう話していると、通訳がニヤニヤしながらこっそり教えてくれた。

HEART ROCK 5th 参戦記 その3


(リアル話)
ANPの方を見て下さい、もうここまでくると日本に居る本物です(笑)。よく現地の写真で見る姿、そのままです。AKのばらつき具合に見とれてしまいました。
一丁毎に個性あふれるカスタムをされておられます。それが凄く本物っぽいです。実際に現地っぽい、怪しい音楽を流してました。
しかも皆さん、アドリブが凄い。これこそリエナクトの醍醐味ですね。ほんと楽しかったです。
これにEUPOLが揃った時点で、ワタシは失禁しそうになりました。本物のEUPOLの任務は現地警察の訓練・支援。なので現実世界ではこういう写真がいっぱいあります。
ここにずっと居たかったなぁ・・・



つづく・・・




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Posted by ムラカミ at 22:40│Comments(2)HEART ROCKイタリア軍
この記事へのコメント
いや~現地雇用のガイドを連れて行って大正解でしたね・・(ww

前日にネタ仕込みしたんですが・・良かったですよね?
Posted by フォックスロットデルタフォックスロットデルタ at 2014年10月23日 00:07
>FDさん
現地雇用ガイド、大活躍でしたねー。旧装備ってところが、またツボで。
私も含めて皆、兵隊さんをやりたがるので、なかなかレアで思いつかない設定ですね。
Posted by ムラカミムラカミ at 2014年10月23日 10:04
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